植物だけでなく、全ての生き物は在来種と外来種に分けられます。
ただ江戸後期や明治のはじめに日本に入り、今や外来種と呼ぶことが正しくないのではと感じるほど日本に定着している植物も多々あります。
東京駅前や神宮外苑、北大など観光スポットとなるイチョウ並木も元は日本のものではありませんが、なくてはならない存在です。
シーボルト達が持ち帰り、日本でイングリッシュガーデンブームとなった時に逆輸入された植物もたくさんあります。
専門的な話はさておき、この在来種というものならではの魅力があります。
それは周りに溶け込む景観をつくること。
ありとあらゆるものをつくるのに輸入材に頼る今のこの国の実情にあっても、やはり気候風土にあった暮らしというのは滲み出るものです。
その暮らしの生み出す景色には、やはり昔からある在来種が馴染むんですね。
今年の春お世話になったお庭です。
小さなお子さんのいる若いご夫婦でしたが、派手なものよりは落ち着く庭を希望されていました。
こちらに入れた植物は基本全て在来種になります。
施工前の様子。
もう一つ在来種の魅力を言えば、環境へ適応しやすくリスクを軽減できること。
海外旅行は楽しいけれど、日本に戻るとやはりホッとするのと同じ。
植物も元々あるべき場所に近い方が落ち着くんでしょうね。
スケールの大小は問題ではありません。
建築も植物も、単体で目を引く奇抜なものでなく、俯瞰して見た時に全てが繋がっているような景観を意識すると、土地土地に溶け込んで根付くものが増えていく気がします。