ランドスケープの世界にもバッファという言葉があります。
元々’緩衝物’を表す英語でITなど他のジャンルでもそれぞれの意味で使われています。
ランドスケープの世界ではゾーンとゾーンを区切る役割、特に喧騒、視線、風、雪などの影響を和らげて落ち着ける空間を確保したい時に植物でつくる柔らかな壁を意味します。
以前施工したお庭です。


施工する前の様子です。


街中では周辺環境が変わっていく速度も早い。
住み出した頃何も無かったところに10年もしたら周りにマンションが立ち並ぶということもよくあります。
じゃ引っ越そうかとはなかなか簡単にはいきません。
バッファと呼ばれる緩衝緑地はこういう場面で非常に有効です。
上の写真にある隣地境界に植えられた常緑樹は、今充実して隣のマンションや道路からの視線をしっかり遮ってくれています。
コンクリートの壁などを建てれば威圧的な印象となり近隣との関係もギスギスしかねませんが、緑の壁は柔らかな仕切りをつくってくれます。
どうしても人工物は0か100かになりがちです。
落葉や越境などのトラブルを避けるため樹種の選定は慎重にする必要がありますが、自然素材はその0と100の間を埋めてくれる柔軟性があります。
ご近所付き合いというのは昨今失われつつある日本の素敵で粋なカルチャーです。
角の立たない空間づくり、街中でも安らげる空間を確保したいとき、是非緑の柔らかな壁を検討していただきたいと思います。