建築と造園の世界の大きな違いの一つに設計と施工の区分けがあると思います。
建築は建築設計という確立された分野があります。一方で造園設計という言葉は聞いたことはあっても確立されたフィールドがあるかというとどうかなというところです。
ただ大分変わってきていると思います。良い方向に。
建築の世界では、自社ブランド立ち上げて自社で設計施工するハウスメーカーもありますし、造園の世界に近いところのランドスケープの世界ではプランナーやデザイナーとしての立ち位置もかなり認知されてきているように思います。
基本的には良いことではないかと思っています。が、一方で個人的には意識して設計と施工を分けているところがあります。
設計施工が当たり前とされた時代の造園業界での下積みが長かった人間ですので、基本的には設計を本業としながらも一通り施行に関してもこなすだけの経験はしてきています。
ただ’やれる’ということと’実際にやる’ということは場面により使い分けるべきだと思っています。
自分で出来るんだったら外注費使わず自分でやるべきというのも一つの考え方ですが、自ら現場に入り込んで手を動かし出すと設計者やプランナーとして見なければいけないことが見えなくなることがあります。

スケールによりますが、ある程度大きなプロジェクトになると常に全体を俯瞰して見ることが求められます。
そこにものづくりの職人という性格が前面に出過ぎると、全体を俯瞰するということが疎かになりがちなんですね。
自分のように入り込むと周りが見えなくなるタイプは特に要注意です。
猪年生まれなもんで。