レジリエンスという言葉を良く耳にするようになりました。
主に環境保全や防災を考える場面で使われるようになりましたが、固く強く受け止めるのでなく、柔らかく柔軟に受け止めるというようなニュアンスを全て指し示す言葉として使われているようです。
ランドスケープの世界でこのレジリエンシーを考える時こそ、自然の様から多くの気付きを得ます。
木は枝葉の隙間から風を程よく逃し、体をしならせながら雨風を受け流します。
コンクリートの壁のように固く全てを跳ね返すのとは違います。
土に雨水がゆっくり浸透し、貯留され、地下水となりゆっくり流れ出てゆくのとは違い、排水溝に流れ込んだ雨水は一気に下水管に流れ込み、容量を超えればとたんに道路に溢れ出していきます。

山を削り、谷を埋めて人の生活圏を拡大し続けて来ましたが、谷であったのには谷であった理由があります。
埋めて見た目に分からなくすれば済むという話ではありません。
長い時間の経過の中で生き残った種や残された地形。
そこを理解し、時には立ち戻る。
本当のレジリエンス(回復力、弾力性)を求めるのであれば、大切なことです。