まちづくりというスケールのプロジェクトには、そのまちがどちらの方向に進むのか、進みたいのか、すなわちそのまちのストーリーというものを関係者各位で共有することからスタートします。
あるタイミングで住民説明会やプレスリリースなどで一般の方にも理解を広げていくわけですが、時には何年もかかるプロジェクトで、最初のストーリーが最後まで太い軸として生きます。
そうして出来た街並みを見て誰もが直感的にそのストーリーを感じ取るのは植栽かもしれません。
建築物はセットバックや高さや色調などある程度のコントロールはあっても、基本的には建物ごとに設計者やデザイナーが変わります。
対して植栽は細部は別にしてもグランドデザインは一元化してコントロールすることが多いです。
だからこそ植栽プランでストーリーを表現することには大きな意味があって、専門家でなくとも肌感覚で感じ取りやすいのではないかと思います。
そこにはやはり植物自身の持つ力というものも大きいと思っています。
人が人に理解を求めるときには考えて考えてまた考えて、山ほど資料を揃えて、それでも揉めて(笑)。
でも植物には頭でゴチャゴチャ考えさせることなくどの人にも何となく同じ気持ちにさせたり納得させる力があります。
分厚い書類より健気に逞しく生きる植物の生き様の方が説得力があるんでしょうね。