昨年京王プラザホテル札幌さんの1Fレストラン グラスシーズンズ のレストラン前ガーデンを設計施工させていただきました。

東面が正面玄関となり、このレストランは反対側の西面に位置します。

そのためかどうしてもホテルの裏側というイメージがぬぐい切れず、少し薄暗くジメジメとした印象がありました。

施工前の様子です。

今回お話をいただいてコンセプトとして挙げたことは

    ・北国らしい植物の世界を魅せる
    ・草花から樹木まで、限られた空間の中に展開する
    ・高低差やフェンスに絡めることで植物を立体的に魅せる
    ・取り壊される庭の面影(オマージュ)を残す
    ・西隣の伊藤邸、一部残る既存の庭の緑と連続した景観とする
    ・その後の維持管理に配慮したプランとする
    ・ホテルという性格上、即効性のあるデザインとする

この中にも書きましたが通りを挟んだ西側には伊藤邸の見事な屋敷林があり、その樹木に囲まれるように現在高層マンションが建設中です。

このマンションに人が入るようになれば、今までホテルの裏のイメージであった西面にも人の目が集まるようになり、駅からの人の流れも大きく変わることが予想されます。

ロケーションとしては決して悪くなく、人の流れも多い大事な場面ですが越えなければならない壁がありました。

それはレベルとしては1階になるのですが、地下階があり実際ガーデン部分は屋上緑化と同じ考え方をする必要がある一方、建物はそうしたことを想定したつくりとなっていないため積載荷重に大きな制約があること。

そうして制限された客土厚の中で植えられる植物を、街中特有のビル風から守らなければならないこと。

積載荷重に関しては建築と何度もミーティングを重ねて検討しました。

少しでも荷重を抑え、かつ立体的に見せるために樹木を配置する部分だけ植え桝を立ち上げたデザインとし、成長した時の樹木の重量を考え植え桝の高さを設定しました。

客土は軽量土壌を用い、根に近い部分は可能な範囲で黒土を根の安定のために混ぜ込む。

樹木は地下支柱とし、土の表面には土の飛散防止、保水、雑草の侵入の抑制を考え全面のり入りのマルチング材を敷きこむこととしました。

ネットフェンスに植えられたツル植物がボリュームを出すまで人工の目隠しフェンスをしていますが、大きく育って歩道側からの視線が気にならなくなれば取り外し、今度はネットフェンスに絡んだ植物が歩道を歩く人の目も楽しませてくれるでしょう。

植物の生命力、季節の移ろい、北国らしい植物の世界、実を啄ばむ鳥や蜜を吸う虫たちの命のつながり。
そんなものが街中の一角で展開されていくことを目指して。

機会あれば是非ランチでも食べに行ってみてください。

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投稿者について

札幌市東区のOne & Nature。人(One) と 自然(Nature) をつなげるお手伝いができればとこの名前を付けました。個人の庭から街並景観まで、さまざまなライフスタイルに合わせて植物が身近にあり、そのたくましく育つ姿から力をもらえる。そんな空間づくりを目指します。