ランドスケープデザインのプロセスで初期に行うものの一つにゾーニングというものがあります。
その名の通り対象となる全エリアを性格や役割によりゾーン分けし、全体に秩序やストーリー性を持たせるための手法です。
プライベート’私的空間’とパブリック’公的空間’に分けることは一般的ですが、自分はその間に’セミパブリック’という、その中間の性質の空間を大事にしています。
‘中間’という概念は人の豊かな暮らしには不可欠だと思っています。
人里と森の間の里山のように。
森の中の古民家再生プロジェクトでも、その外構設計にはその’中間’を強く意識しました。
自然に癒されたいと都会の喧騒を逃れてくるゲストも、本当に大自然の中に放り出されたいわけではありません。
多くの方は最低限の利便性と安全性が担保された上での自然体験を求めています。
そのリクエストに応えるために森の中に自生する植物と、オリジンは同じでも改良された園芸種、この2つを組み合わせてゲストルームの窓前に展開することを植栽設計指針の一つとしました。
semiな空間です。
東京暮らしに疲れて郊外と都内との2拠点生活を求める人や、郊外からリモートで東京のマーケットに参加する人がコロナをきっかけにグッと増えています。
どちらか一つだけではなく複数のものをバランス取ることが必要と感じた人が少なくないということの表れだと思います。
semiな空間。
その持つ意味は益々大きくなっていくと思います。